
Porcelain
Paris porcelain(パリ窯)について
1700年代から1870年にかけてパリの中心、近郊に点在した約30の窯元
それらを総称してパリ窯と呼びます。
Old Paris Porcelain または Vieux Paris Porcelain とも呼ばれています。
Vieux はフランス語で古いを意味します。

パリ窯を語る上で、同時代に存在したパリのセーブル窯の存在は無視できません。
フランスの至宝といわれる王立のセーブル窯を意識し競いあったことは、
作品のスタイル 色調 品質の高さから見てとることができます。

パリ窯の作品がセーブルスタイルと呼ばれるのは、こうした背景も影響しているようです。
しかしながら、ほとんどパリ窯から作られた作品には、バックスタンプが見られません。
(約70%の作品にはマークがないと言われています)
その理由については、諸説あるものの、その当時の資料が少ないことも影響し
今なお謎につつまれた部分も存在し、現在も研究が続けられています。

パリ窯は、一見して目を惹くものが多く、
ロイヤルブルー(セーブルブルー)やポンパドールピンク(注参照)、
コバルトブルーなどの華やかで特徴のある色を意識して 使用しており、
また金彩も随所に施すなど、豪華な装飾品と言っても過言でない作品を多数この世に送り出しています。

当時の時代背景から 宮廷様式への憧れも感じられ、
その作品はテーブルの上を飾るディナーセット、ティーセットから壁を彩る装飾絵皿、
花瓶、大きな壺、 時計、身の回りの品々に至るまで多岐に渡っています。

今日においてもサザビース、クリスティースなどの有名なオークションハウスにおいて
高値で取引されていることからも、パリ窯に高度な技術が存在 したことは確かと言えます。
そしていまなお多くのコレクターが存在してその評価を確立しているのです。
(注) ローズポンパドールまたはポンパドールピンク と言われる色鮮やかなピンク色は
1757年にセーブル窯(パリ南西約10キロに位置)で創り出されました。


ルイ15世の寵愛を受けたポンパドール夫人はセーブルに多大な支援並びに影響を与え、
ポンパドール夫人が愛したこの色を彼女の名前に冠して Rose Pompadour としています。


ポンパドール夫人=ポンパドゥール侯爵夫人ジャンヌ
アントワネット・ポワソン(ルイ15世の公妾)

(仏)Jeanne-Antoinette Poisson, marquise de Pompadour
1721年12月29日 - 1764年4月15日
参考文献
▲ Antique China porcelain & collectibles
▲ Old Paris Porcelain: A History for Collectors
【 執筆 / 監修 】 小田 柚季
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